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INTERMACH / SUBCON THAILAND 2024 イベントレポート


イベントレポート

INTERMACH / SUBCON THAILAND 2024 イベントレポート

 こんにちは。島根・ビジネスサポート・オフィスの一迫です。
 タイにおける製造業関係3大展示会のひとつ INTERMACH / SUBCON THAILAND がアセアン最大級展示場の BITEC で5月 15 から 18 日まで開催されました。3大展示会のうち他の 2 つは、MANUFACTURING EXPO(6 月 19-22 日開催)および METALEX(11 月 20-23 日開催予定)です。

 この展示会は INTERMACH と SUBCON THAILAND という2つの別々の展示会が開催場所と時期を同じくして開かれるものです。それぞれの展示会の概要は以下の通りです。

INTERMACH

 部品加工に関係する工作機械(マシニングセンター、シートメタル加工、溶接、レーザー加工、プレス等)や、それらに必要な測定器類や付帯設備、また FA 関連(ロボットなど)事業の企業の出展が主です。

SUBCON THAILAND

 その名の通り、製造業における下請け関連、自動車産業で例えるとティア3以下の部品量産関係及びその関連製造及びサポート企業等の展示会です。今年は、INTERMACH には 204、SUBCON THAILAND には 208 の企業及び関連団体が出展し、来場者数は 44,773 人と、昨年の来場者数 42,011 人に対し微増という結果になりました。

タイ製造業におけるトレンド

 現在のタイの製造業関連のトレンドとして注目されているのが「BEV(バッテリー式電気自動車)」 です。本展示
会においても BEV の促進を狙う主催者の意図が垣間見えるところが多くありました。展示会場へのエントランスロビーには中国 BYD の電気自動車、TOYOTA の BEV ピックアップトラック、そして将来の期待の星として TOYOTA MIRAI が展示されていました。

 その他にも、THAI SUBCON の SHOWCASEには、シンガポール企業、KRONOS MANUFACTURING がタイで製造している電動バイク、車いす、小型ショベルカーが展示されていました。

 Thai Subcontracting Promotion Association(日本語では「タイ下請振興協会」、以下 THAI SUBCON)の役員の方に話を聞くと、今年後半に BYD が、以降いくつかの BEVメーカーがタイで順次製造を始めるが、殆どの部品が中国企業製となるため、タイ企業がそこに入り込むのは難しいのではないか、とのコメントでした。

 3月末に開催されたモーターショー(即時予約販売会)でも、政府補助金の助けもあり、成約台数の3台に1台(33%)が BEV だったことからも、タイにおける BEV の盛り上がりが見て取れます。その一方で、現時点では BEV はほぼ中国からの輸入となっているため、今後の市場のトレンドが、タイの既存の製造企業にどのような影響をおよぼすのか、まだ見えていない現実があるようです。

展示会に参加をしてみての考察

 前述の通り、 INTERMACH では、工作機械及びその周辺機器関連の展示が主になっています。6 月 19−22 日に行れる MANUFACTURING EXPO や11 月の METALEX と同系列企業の展示会となります。但し、最新技術の展示ではないということもあり、中国製の機械が目立ちました。

 また SUBCON THAILAND との関係もあり、やはり部品製造(主に量産)に関係する工作機械、測定器、SI 関連の出展が多い印象を受けました。

 SUBCON THAILAND は、THAI SUBCON が主催しており、部品加工(主に量産)企業や製造付帯設備製造販売関係の中小企業がメインにブースを構えます。ここで感じたことは、日系企業が多く出展していたということです。208 団体(ブース数)中 52 団体(筆者カウント)が日系企業のブースでした。このエリアの特徴として、ブース出展企業間での商談も盛んで、出展企業と訪問者との面談のみならず、出展社同士での情報交換の機会としても機能していました。それほどに参加企業の出展製品のバリエーションが豊富な印象を受けました。

SUBCON THAILAND 出展企業インタビュー

 今回の SUBCON THAILAND に出展していたタイ企業に対し、現在の業績や抱えるニーズについてインタビューを行いました。

▪️SP Group Company / Chanchai 社長

 従来は自動車部品、家電部品(洗濯機、冷蔵庫関係)の製造を行っていましたが、この分野での将来的な成長は期待できないので、新しい事業の掘り起こしが重要だと考えています。最近では、これまでに培ってきた自社の強みを生かし、ホームケア事業として介護用ベッドの開発、製造販売を始めています。また事業継承ということでは、自動車関連事業は息子のマークに、ホームケア事業は娘のミンに責任を持たせています。

 とのことで BCP(事業継続計画)と応用展開新規事業を急いでいらっしゃるそうです。介護用ベッドや介護機器でのグローバル展開に関して協業できる企業があれば、ぜひ話をしたいとのことです。

▪️SK POLYMER CO., LTD. / SUPOTE 社長

 自動車、家電、エアコン、日用品、医療など、全方位事業のゴム関係の製造をしています。目下の事業は好調で、特に医療関係製品の製造が好調です。全ビジネスカテゴリーに対応して製造しているため、ある分野の業績が悪くても他の分野でバランスを取ることができるので、これがわが社の強みです。

 SUPOTE 社長によると、ナチュラルゴムを原料にした高耐熱やその他に付加価値のある技術をもった企業の紹介を希望していました。

▪️THAI ROKUHA CO., LTD. / WARAKORN 社長

 研磨機のオーバーホール(日本企業と協業)、付帯設備商社、SI 設計製作を展開しています。目下のところ売上は順調ですが、今後は SI を強化していきたいので、良い設計会社があったらぜひ話がしたいです。

 それ以外にもタイ企業の社長何名かとお話しましたが、共通して話されていることが、「現状維持では将来がないので新規事業を進めなければならない。これまでの実績や培ってきた技術をベースに応用展開、横展開が必要」。その上で、「やはり技術は日本」 。昨今中国企業の進出が目立つタイの中でも、「日本企業との協業を模索していきたい」というタイ企業の意向を強く感じました。

後に

 電気自動車など中国メーカーのタイ国内での台頭が目立つ近年ですが、中国やアジア諸国とタイ企業との取引が増えることで、やはり日本の技術は信頼がおける、ということを、身をもって実感された方も増えてきているように感じます。多くの企業が新規事業の展開を検討している今だからこそ生まれる新たなビジネスチャンスがあるかもしれません。



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