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タイ企業インタビューRIKKEI (THAILAND) CO., Ltd.


企業インタビュー

タイ企業インタビューRIKKEI (THAILAND) CO., Ltd.

グエン・クアン・キー|CEO

 こんにちは。島根・ビジネスサポート・オフィスの柴田です。

 近年、ベトナムは国として著しい経済発展を遂げています。その中でも特に、世界的に大きな注目を受けるのが同国の IT 分野で、急速な成長を見せています。若く優秀な IT 人材を多く抱えるベトナムですが、当初はオフショア開発の拠点として世界の国々から開発受注を受けていたのが、近年では自社でソフトウェア開発を行うグローバル企業も多く生まれており、更にその存在感を増しています。

 今回はそんな競争が激化するベトナムの IT 業界において確立されたポジションを築き、世界各国に次々に進出をしているベトナム企業、Rikkeisoft へのインタビューを実施いたしました。

Rikkeisoft 会社概要

 Rikkeisoft は 2012 年 4 月に 6 名の同級生によって創設されました。社名の「Rikkei」は、創設メンバーの母校である、日本の立命館大学と慶應義塾大学の頭文字に由来します。

 本社をベトナムのハノイに置き、ベトナム国内ではダナン、フエ、ホーチミンと合わせて 4 拠点、日本法人である株式会社リッケイとして東京(本社)、大阪、名古屋、福岡に 4 拠点、そしてタイとアメリカに 1 つずつ拠点を置いています。今回インタビューに応じたグエン・クアン・キー氏が CEOを務める RIKKEI (THAILAND) CO. Ltd. (以下、RIKKEI THAILAND)は昨年設立されたタイ法人で、2024 年 5 月で 1 周年を迎えました。

 当初 6 名で立ち上げたこの会社が、現在ではグループ全体で 1,800 名にまで成長し、今後さらなる事業
拡大を予定しています。

 同社は、日本企業をメインのクライアントにオフショア開発や DX コンサルティングなどの他、IT エンジニアの育成など人材教育にも力を入れ事業展開をされています。その事業内容はベトナム国内でも高く評価されており、優秀なソフトウェア・情報技術サービス企業に与えられる「サオ・クエ賞」やベトナム IT 協会の「ベトナム IT
企業トップ 50」に選出されるなど、数々の賞を受賞しており、注目を集める企業です。

 今回は、創業メンバーの一人であり、現在 RIKKEI THAILAND の CEO 兼株式会社リッケイの副社長を務めるグエン・クアン・キー氏に、同社の事業や今後の展望についてインタビューを行ってきました。
 

▪️RIKKEI THAILAND の事業内容について教えてください。

 東南アジアの製造拠点をタイにおいている日系企業向けに IT システムの開発支援をメインに提供しています。例えば、当社の親会社である株式会社リッケイが関わって開発したソフトやシステムなどのパッケージを、タイに導入する際に、当社がシステムをタイの法律や商慣習に合わせてローカライズしています。
 

▪️なぜタイへの進出を決めたのでしょうか?

 今から 2 年前に、当社内で、日本以外で日本人が集まる国へ進出すれば、より当社の支援体制を強化できるのではないか、という議論がされました。その際に、Rikkeisoft は本社がベトナムにあるので、ベトナムの近くの国、というのが条件となっていました。シンガポールも候補に上がったのですが、日本からの進出企業数がそれほど多くありませんでした。また、アジアの統括拠点としてホールディングスをシンガポールに置いて、実務は別の国で、という企業も多いです。そのため、東南アジアの製造拠点として日系企業が多く進出しており、ベトナムから 1 時間 30 分から 2 時間で移動でき、かつ直行便も多いというアクセスの良さもあり、バンコクにオフィスを設けることが決まりました。

 特にベトナム南部のホーチミンとバンコクは気候が似ており、食事もベトナム人の口に合うので、タイで働きたいというスタッフもたくさんいました。生活のしやすさ、というのも現地オフィスを設立する上では重要だと考えていました。
 

▪️日本でも 4 都市にオフィスを設けていますが、日本ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

 Rikkeisoft のクライアントはほとんどが日本の企業ですので、IT 開発の支援などがメインの事業です。Rikkeisoft ではベトナム政府からの案件や企業の案件も受けていますが、割合は少なく、日本を始め外国企業からの依頼がほとんどです。なので私の業務は、株式会社リッケイと RIKKEI THAILAND のそれぞれの立場で、両国での事業のケア、マネージメントがメインになります。
 

▪️日本企業をメインのクライアントとしていらっしゃいますが、日本での事業の現状はいかがでしょうか。

 株式会社リッケイを立ち上げて 8 年ほど経ちますが、小売のお客様が多いです。日本の大手のコンビニエンスストアやショッピングモール、スーパーなどからお仕事を受けています。具体的なニーズとしては、小売のプラットフォームの開発や、在庫管理システム、勤怠管理システムの開発などです。
 

▪️IT が強い国として、インドやフィリピンの名前が上がりますが、そういった国と比べた時のベトナムの強みとは何でしょうか。

 日本市場においては、日本語によるコミュニケーションが可能で、日本文化への理解があるという観点から、インドやフィリピンではなく、ベトナムを選ぶという企業が多いです。 一方で欧米市場の話となると事情は異なります。インドやフィリピンの強みの 1 つは英語で円滑なコミュニケーションが取れるという点です。文化面でも欧米に適用しているので、欧米市場はこの 2 つの国が選ばれる傾向にあります。

 言語はもちろんですが、商習慣、ワーキングカルチャーの理解というのも非常に重要で、例えば、要件定義やシステムの設計などの依頼を受けますが、プロジェクトを進めながら少し仕様の変更など必要になる場合がでてきます。あるいは、どうしてもこの機能は今日中に完成させてほしい、という依頼が入ることも時々あります。このような場合、欧米スタイルだと、残業をせず、当初の計画通りに進めるのが基本であるため、断られることが多いです。

 その点、ベトナム人は日本企業のニーズや慣習を理解ができますし、勤勉な国民性なので、日本の方と考え方や気質など合うところが多く仕事がしやすいと感じていただけていると思います。こういった点が、特に日本でベトナムの IT 企業が成功できている大きな要因の 1 つなのだと考えます。
 

▪️ベトナムの IT 産業では企業間の競争が激化していると思います。そんな中で、Rikkeisoft の強みはどういったところとお考えでしょうか。

 Rikkeisoft の創業メンバーは日本の大学で学び、卒業をしているので、日本語だけでなく、日本の歴史や文化も理解しています。なので、日本の文化が会社の DNA に組み込まれているというのが Rikkeisoft の強みの一つだと思います。

 会社を経営する上で、特に海外のお客さんについては、文化や習慣がわからないと業務を行うのがとても難しいです。
 

▪️今後タイ、ベトナム以外の東南アジアの国への進出はお考えでしょうか?

 既にタイとベトナムに法人がありますので、ここ数年で東南アジアのまた何処か別の国に法人を設立、ということは考えていないです。今後進出するのであればシンガポールが一番可能性が高いと思いますが、現状、タイとベトナムで対応できているので、しばらくは東南アジアの国へ新たに拠点を持つことはないと思います。

 現在、当社にはシンガポール、マレーシアの日系企業から案件を受けていて、それらは Rikkeisoft ベトナムで対応しています。
 

▪️では、タイオフィスはタイのお仕事だけを受けているのでしょうか?

 そうですね。RIKKEI THAILAND はタイに進出している日本企業から直接仕事を受けています。現在、契約のあ
る企業は 5、6 社ほどです。他にも、タイに進出している日系企業本社のシステムやソフトをタイ子会社向けにローカライズするサービスや営業活動も行っています。
 

▪️それでは、キーさんのタイでの役割としては、そういった企業のトップの方への営業活動やコミュニケーションを取ることなのでしょうか?

 タイオフィスは昨年立ち上げたばかりで、まだスタートアップ企業のようなステージにあります。私は、タイでの人脈を作ったり、事業戦略を練ったりと色々な役割を担っています。

 ただ、バンコクに進出してから 1 年が経ち、少しずつ現地の体制が整ってきたので、営業活動は他のメンバーに任せ始めています。私は会社のトップの方と、会社間での信頼を構築するために動いたり、戦略を構築したりする部分にフォーカスできるようシフトしています。
 

▪️今、タイオフィスには何名従業員の方がいらっしゃるのでしょうか?

 今は私も含めて 8 名ぐらいですね。ただ、今タイでのビザの申請手続きを行っているベトナム人スタッフが 2−3名おり、彼らも毎月タイに出張に来ています。タイで働くベトナム人スタッフは、タイ人と会話をしてもベトナム人だとわからないくらい、タイ語が上手です。

 タイに来て驚いたのが、タイ語とベトナム語はかなり似ているという点ですね。なので、タイ語が話せる人がベトナム語を勉強したら、話せるようになるまでにそれほど時間はかからないと思います。文法はほとんど一緒ですし、発音が似ている言葉がいっぱいあります。

 なので、もしベトナム人スタッフが 3 ヶ月集中してタイ語を勉強すれば、ペラペラになります。ただ、さすがに読み書きは 1 年くらいかかるかもしれないですけどね。そういう面でもタイでの展開はベトナムにとってハードルが低いと思います。

 タイとベトナムの間では交流も盛んで、15 年前からベトナムで事業を展開するタイ企業が増えています。なので、タイ語の話せるベトナム人、ベトナム語の話せるタイ人は非常に多いです。

 私はベトナム語、日本語、英語の 3 カ国語を話しますが、日系企業の方とコミュニケーションをとるには日本語ができることが重要だと考えます。
 

▪️今はタイの日系企業をメインターゲットにされていますが、今後タイのローカル企業へサービスを展開していくことも考えていらっしゃいますか?

 はい。それは考えていますし、これからの戦略の中に組み込まれています。なので今、少しずつタイの財閥やローカル企業へもアプローチを始めています。
 

▪️タイのローカル企業もターゲットに展開していくとなると、やはりタイオフィスも規模を大きくされていくのでしょうか?

 はい。今後も積極的にタイ人とベトナム人を採用していく予定です。実はタイ企業からのベトナム IT 企業の評価は高いです。またタイの大手企業もかなりベトナム人エンジニアを積極的に採用しています。なので、タイ企業との協業には慣れている企業も多いですしベトナムで事業を行うタイ大手企業は多いです。

 例えばタイのカシコン銀行はベトナムに大きな開発チームを持っています。 カシコン銀行の IT 関連事業はKASIKORN Business-Technology Group(KBTG)という子会社に委託されているのですが、そのKBTG はホーチミン市に開発センターがあります。その他にも小売大手のセントラル・グループもベトナムに進出しています。
 

▪️タイだけでなく、アメリカやヨーロッパにも積極的に展開をされていく方針なのでしょうか?

 アメリカに関しては、テキサス州にすでに拠点を有しています。ヨーロッパにはクライアントはいますがオフィスはまだ設立予定はありません。今年は韓国に進出を予定しています。ここでは、日系企業ではなく、韓国のローカル
企業に向けてサービスを提供していく計画です。

既にサムスン電子やロッテとも関係ができているので、そことの関係を維持しつつローカル企業に対してサービスの提供をしていきたいと考えています。
 

▪️現在、世界中の国、地域で事業を展開されていらっしゃいます。もちろん苦労も多いと思うのですが、これまでの成功を収めていらっしゃる秘訣や Rikkeisoft としての哲学があるのでしょうか。

 私たちはどんな市場に参入しても、前提として、まずはその地域のローカル企業と協力をして事業を展開したいと考えています。突然新しい国で全てを自分たちだけでできるわけがないです。どの国に進出しても、現地の企業とのネットワーク、関係構築を大切にしています。タイでもタイの IT 企業とのネットワークの構築を積極的に行っています。

 2 つ目に、Rikkeisoft にしか提供できない価値はなにか、Rikkeisoft として何がお客さんに提供できるのか、ということを明確にしています。

 3 つ目は、その国の歴史や文化を調査し理解することです。これができていないと、その国の相手の方と話しにくいように感じます。

 最後に、この点は非常に重要ですが、ベトナムの国としての価値を上げたい、という気持ちは常に持っています。どこに行っても、タイに進出しても、日本に進出しても、我々はベトナム人なので、Rikkeisoft を通してベトナム人の国民性を理解してもらい、Rikkeisoft と一緒にお仕事をしていただくことで、ベトナムを愛してくれる人が増えることがとても嬉しいです。

 創業メンバーは全員、20 歳前後の比較的早いタイミングでベトナムを出て日本にいたということもあって、海外から見るベトナムのことはすごく考えています。

 また、海外へ進出をする上で、スタッフがその国に行きたい、仕事をしたいと思えるかどうかもとても大事です。その点では、タイに行きたいというベトナム人は多いです。そうでないと、例えばタイの仕事が決まって、スタッフにタイのお客さんの工場や現場に行って、現状のシステムがどうなっているか確認してきて、と言った時に行きたくない、と言われてしまうと事業が立ち行かなくなってしまうからです。なので、本当に最初はそこから考えます。RIKKEI THAILAND 設立から 1 年経った今では、タイ人もベトナムと仕事がしたいという気持ちを持っていることが分かっているので、とても仕事がしやすくなりました。
 

企業概要

企業名: RIKKEI (THAILAND) CO. Ltd.
設立日:2023 年 5 月 15 日
事業内容: システム開発、革新的なテクノロジー 等
住所: Ramaland building, no. 952 Rama IV road, Khwaeng Suriyawongse, Khet Bangrak, Bangkok Thailand



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