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タイの就職活動事情


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タイの就職活動事情

こんにちは。アジア・アライアンス・パートナーのニンです。

 4月を迎え、新社会人としての新たな生活が始まる季節になりました。3月のバンコクでは、学生さんかな、と思われる若い日本人の方を多く見かけました。

 日本での就職活動において、「新規卒業者」いわゆる「新卒」という肩書は1つ重要なステータスとされています。 新社会人として、会社の貴重な人材としてゼロから育成ができる貴重な人材として、新卒者の採用を積極的に行う企業は多いのではないでしょうか。学生としても、「新卒」というブランドを守るため、大学卒業前から就職活動を行い、卒業時には4月からの就職先が決まっている、という学生が多いのではないでしょうか。

では、タイと日本では何か違いがあるのでしょうか。今回はタイの就職活動についてご紹介いたします。

タイの大学の卒業時期

 まず、基本情報として、タイも日本と同様に、医学部や専門学校などを除き、大学は4年制です。では、タイの大学の卒業時期はいつなのでしょうか。

 日本ではどの大学も基本的に共通で、4月から新年度が始まり、3月が年度末。卒業式も3月中に行われることがほとんどだと思います。

 一方タイでは、大学によって3月や6月、あるいは年の後半に卒業時期を設定しているなどバラつきがあります。更に、卒業式は実際に大学を卒業してから数ヶ月後に実施されます。この主な理由は、タイの卒業式には王族の関係者が参列し、卒業生全員に直接卒業証書を授与する、という風習があるためです。王族関係者が参列するために卒業式の日程調整も行われるため、結果として卒業から数ヶ月はたまた1年後に卒業式が行われることになります。そのため、タイでは1年中卒業式が行われており、社会人として会社に勤め始めた後に大学の卒業式に参加をする、という日本では起こり得ない状況が、タイでは発生します。

就職活動のタイミング

 タイの大学の卒業時期はバラバラである、とお伝えしましたが、では就職活動のタイミングはどうなのでしょうか。タイでは、大学卒業前に就職先が決まっていることは、一部の優秀な大学の学生を除いてほとんどありません。そもそも、卒業前から就職先を探す事自体が珍しく、多くの学生は、大学卒業後に自分の進路を考え、就職活動を開始。中には、大学院へ進学したり、海外への留学を決める人もいます。

 上のような事情もあってか、大学が持つ学生の支援体制もタイと日本では異なります。

 日本では、就職課や学生課などがあり、そこで就職活動における企業情報の提供や、面接対策や応募書類の添削などのサポートしている大学は多くあると思います。ところがタイでは、そういった就職活動にかかる支援を提供している大学はほとんどないのが実情です。

 では、タイの学生はどのように就職先を見つけ出すのでしょうか。大学が就職イベントを主催しており、そういったイベントに参加をしたり、人材紹介会社に登録するのが一般的と言えます。また、日本人商工会議所などがタイ人の日本語人材をターゲットにしたジョブフェアなども開催しています。また、日本では、オンラインの就活サイトにて、履歴書の提出など応募を済ませることが主流となっていますが、タイではキャリアアップ向けのサイトが多く、新卒者向けの就活サイトはまだ少ないです。その他、学生自身で希望する企業に直接訪問したり、大学の教授から、つながりのある企業を紹介してもらったりするパターンもあります。

人材採用の難しさ

 冒頭の通り、日本では積極的に新卒者の採用、育成を行っていますが、タイではそういった考え方はあまりありません。タイでも徐々に、日本のように定期的に新卒者の採用を行う企業も増えてきましたが、即戦力となる人材を求め、中途採用を積極的に実施する企業が多いのが実情です。

 また、他の東南アジアの国にも見られる傾向ですが、タイでは転職することへの心理的なハードルが日本よりも低く、賃金や雇用条件、福利厚生など好条件を提示する働き先があれば転職してしまうケースはタイにある日系企業でも見られ、人材の定着が1つ課題でもあります。

 課題の解決のためにも、民間の保険の提供や社員旅行などといった福利厚生の実施。日系企業であれば、タイ人を役員や会社の重役に登用することで、タイ人スタッフの将来のキャリアパスを提示するなど、企業が従業員を大切にする姿勢を見せることが重要だと言えるでしょう。

最後に

 タイ人の就職活動のタイミングは人によって異なるため、若く優秀な人材の確保は、就活時期が明確な日本よりも難しいと言えるでしょう。求人の際に、自社のFacebookに投稿をするなど、SNSを通しての求人活動は有効な手段として活用されており、優秀なタイ人の採用に向けて、ローカルな採用手段を取るべきでしょう。

 更に、転職が盛んなタイでは、採用時の選考はもちろん、採用後に長く、満足して働いてもらえる環境の整備というのも、タイで円滑に事業を運営していく上で重要な要素です。



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