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ベトナムの持続可能な電気自動車配車サービス


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ベトナムの持続可能な電気自動車配車サービス

 こんにちは。アジア・アライアンス・パートナーの柴田です。

 環境への関心の高まりや、それに伴う世界的な環境関連の規制強化により、近年電気自動車への関心、需要は高まっており、多くの自動車ブランドがこの市場に参入をしています。

 ベトナム国内、の特にハノイやホーチミンなどの都市部でも、大気汚染に対する意識が高まっており、持続可能な交通手段への需要が高まっています。海外の自動車メーカーもEV市場に参入、投資を積極的に行っています。そんな中で現在注目を集めているのが、「XANH SM」という電気自動車(EV)の配車サービスです。この記事では、XANH SMの特徴や利点、ベトナムでの普及状況についてご紹介いたします。

XANH SM(Green Taxi SM)の概要


 このタクシーサービスを運営するGMS社は、ベトナム最大の民間コングロマリットであるVingroupの創業者であり、現取締役会長のPhạm Nhật Vượng (ファム・ニャット・ブオン)により設立されました。このGMS社が、試験導入を経て2023年4月14日からハノイで正式に提供を開始したのが、XANH SM(英語名:Green Taxi SM)という配車サービスです。

 サービス自体は東南アジアで広く普及している「Garb」や「Gojek」やベトナムローカルの「be」というなどがありますが、XANH SMの最大の特徴として挙げられるのが、車両は全て、Vingroupの自動車部門であるVinFast社製の電気自動車のみを利用しているとう点です。同社はこのタクシーサービス以外にも、VinFastの電気自動車や電動バイクのレンタルサービスを展開しており、ベトナム国内でレンタル、タクシーサービスにおいてEVに特化をした初めての会社です。

 電気自動車のみを使用しているため、環境への不可を最小限に抑え、大気汚染や騒音の問題の軽減に貢献しており、今後も同サービスのさらなる普及が期待されています。

サービスの特徴


 最大の特徴は、前述の通り、同サービスで使用されるのは全てVinFast社の電気自動車であるという点です。VF e34、VF 8、VF 5 Plusの3つ車種が用意されていますが、車両は鮮やかなペパーミントグリーンのような色で統一されており、市内を歩いていても非常に目に付きます。

 ベトナムの流しのタクシーは、ぼったくりに合う危険性や行き先を伝える際のコミュニケーションの問題などがありります。Grabなどの配車サービスは、アプリを通して事前に予約、行き先の指定ができ、予約時に金額も確定されるため、コミュニケーションの問題は少ないです。しかし、配車される車両の清潔さはバラバラで、ドライバーの教育も徹底されていないないのが現状です。

 XINH SMは予約システム自体はその他の配車サービスと同様に、アプリケーションから行き先などを指定するシステムですが、サービスの提供開始から間もないということもありますが、使用される車両は全て清潔に保たれており、ドライバーによる車両の違いもありません。車内のスペースも広々としており、走行音も静かなため、快適な移動が可能です。

 また、GMS社では、ドライバーの選考とトレーニングに非常に力を入れています。採用したドライバーに対し、継続的なトレーニングプログラムを提供しています。このプログラムを通して、ドライバーは利用客へのサービスやナビゲーション能力、コミュニケーション能力鍛えることで、満足度の高いサービスの提供を徹底しています。利用客からのフィードバックも重視をしており、利用後のレビューで何か問題があれば直ちに対応、改善に努めています。

 高いサービスの質を保ちながらも、サービスの最初の1kmの利用料金は20.000ドン(日本円で約122円)と、その他の配車サービスと大きく差がないことも、ベトナムの方に好評な要因の1つとなっています。

 上記の通り、車両の快適さやドライバーのサービスの質の高さと価格とのバランスの良さから、4月の提供開始以降、利用をしたお客さんからは非常に高い評価を受けています。アプリを配信しているApp Storeのレビューでは、404件の評価で4.7ポイントを記録しており、非常に満足度の高いサービスとなっています。

その他のサービスの展開について


 今回は電気自動車のサービスについてご紹介をいたしましたが、2023年8月からは「Xanh SM Bike」という電動バイクタクシーの配車サービスも開始をしています。交通渋滞の多いベトナムでは、日本で言うところの原付きの後ろに乗客を乗せて走るバイクタクシーが広く利用されていますが、その電動バイク版になります。

 こちらのサービスも8月14日にハノイを皮切りに提供が開始されており、現在はホーチミンを加えた2都市で展開をしています。GMSは今年中に5つの省と都市での同サービスの提供を目標としています。

 その他にも、通常の配車サービスよりもグレードの高い、ラグジュアリクラスのモデルを配車する「Xanh SM LUXURY」や、「Xanh2 School」という、学校への通学のため、自宅から学校までの送迎ルートを固定し、保護者が常に現在地が確認可能、下車時に写真と一緒にレポートが入るなどといった付属のサービスを提供することで保護者への安心感を与えています。また、Xanh 2 Schoolのサービスでは、学生の乗り合いも可能なため、通学時に各家庭が車を利用する必要がなくなるため、通学時間帯の交通量の削減による渋滞の緩和とそれによる環境面への影響にも期待ができます。

 同サービスのアプリに登録するには、現状はベトナムの電話番号が必要なため、日本から旅行で訪れる際の利用は難しいですが、今後は、配車サービスを主軸に、Xanh SM Bikeやその他のサービスの対応エリアを拡大していく方針で、ベトナムでの電動自動車の普及や環境対策において大きな役割を担う同社の動きに注目が集まります。



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