こんにちは。アジア・アライアンス・パートナーの辻です。
先日、バンコクのサイアム高島屋で日本産果物を販売している「SUN FRESH」にて、鳥取県産の富有柿をPRするイベントが開かれました。店頭でのPR販売の他、同社が運営するフルーツパーラーでも鳥取県産の富有柿を使った限定メニューが販売され、人気を博していました。また、日本の情報を発信しているタイの人気インフルエンサーにも取材していただき、それぞれのSNSで鳥取県産の富有柿のおいしさを発信していただきました。
売り場の方からも「サイズがとても大きく甘みも多かったので、とても素晴らしい状態」と好評をいただきました。
一年中温暖な気候に恵まれ、マンゴーやパイナップルなど果物も豊富なタイですが、近年では日本をはじめとした外国産の果物が売られているのを見かけることも増えてきました。今回は日本からタイに輸出されている果物についてレポートいたします。
増え続ける日本からの輸出
下のグラフは、日本からタイへ輸出された果物の輸出量と金額を2013年から2022年までの10年間のデータをグラフにしたものです。輸出量は2019年にピークを記録した後、コロナ禍の影響を受けて減少に転じていますが、その後も順調に回復を見せ、10年間で倍以上の輸出量となりました。輸入額を見てみると、こちらもコロナ禍の影響で2020年には減少していますが、その後輸出量以上の伸びを見せ、10年前と比べると4倍近い金額となっています。
興味深いのは、2013年から2020年にかけての輸出量と輸出額はほぼ同じような増加・減少のカーブを描いていますが、2021年・2022年とここ2年間は輸出量の増え方を大きく上回る割合で輸出額が増加をしていることです。量に対する金額の割合がが増えたということは、日本産果物の単価が上昇したということになります。
次に品目別の輸出量と輸出額を見てみましょう。日本からタイへ輸出されている主な果物は、りんご、柿、いちご、梨、桃、ぶどう(マスカット含む)、みかんの7品目です。輸出量のグラフを見てみると、りんごが圧倒的ナンバーワンでその次に人気なのが柿、それ以下はそれほど変わらない量となっていますが、輸出額を見てみると、なんといちごが柿を上回って2位、その他にもぶどうも輸出量の順位を上回っています。このことから、いちごは「あまおう」、ぶどうは「シャインマスカット」などの高級品種が多く輸出されているものと推測され、タイ人の消費動向の変化が見て取れます。
今後も日本からタイへの果物の輸出は増えていくものと思われますが、タイでは青果物の輸入に対して植物防疫法と食品法によって厳しく規制をされています。具体的には、輸入業務許可や植物検疫証明書の取得、園地・選別梱包施設の登録、植物輸入申告の申請など、かなりの時間と労力が必要となります。また、日本からタイへ旅行などで渡航する際の青果物の持ち込みについても、今後、税関での取り締まりを強化するという報道もありますのでご注意ください。
タイで人気が上がっている日本産果物の輸出については、残念ながらかなりハードルが高いと言わざるを得ませんが、ご興味がある方はぜひ当ビューローまでご相談ください。