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THAILAND INFORMATION

タイのビジネス環境

2024年現在、タイは日系企業にとって依然として重要な進出先であり、親日国としての評価も変わらず、ビジネスのしやすさは高く評価されています。 1990年代から続く日系企業の進出は安定し、在留邦人数も多く維持されています。BOI(タイ投資委員会)による投資優遇策は継続されており、 特に環境技術やデジタル産業に重点を置いた新たな優遇措置が導入され、多くの外国企業を引き続き惹きつけています。

「タイランド4.0」は実施段階に入り、具体的な成果が現れ始めています。特に注目されているのは電気自動車(EV)産業、デジタル技術、 バイオテクノロジー、持続可能な観光、スマート農業などの分野です。これらの産業は、ASEANにおけるタイの中心的な経済的・地理的役割をさらに強化しています。 EEC(東部経済回廊)構想も大きく進展し、チョンブリー県、チャチュンサオ県、ラヨーン県を中心とした特区では、高速鉄道やウタパオ空港の拡張など、 インフラ整備が大きく前進しています。この地域は次世代産業の集積地として、国内外から多くの投資を呼び込んでいます。

一方で、タイは少子高齢化の進行が加速しており、労働力不足が顕在化しています。政府は外国人労働者の受け入れ拡大や高齢者の就労支援などの対策を強化しています。 日本と違って介護保険制度がなく、介護サービスなどもまだ十分に普及していませんが、これは高齢者向け事業の市場が今後大きく拡大する可能性を示しています。 特に日本企業の知見を活かしたシニア向け住宅や介護サービスの需要が高まっています。

さらに、デジタル通貨の導入や金融テクノロジーの発展により、フィンテック産業も急成長しています。また、 カーボンニュートラル達成に向けた取り組みも加速しており、再生可能エネルギー関連ビジネスの機会が増加しています。

2024年のタイは、伝統的な製造業基盤を活かしつつ、新たな技術革新と持続可能性を重視した経済発展を目指しています。 ASEAN地域におけるハブとしての役割も強化されており、地域全体の経済成長を牽引する存在となっています。観光業も復調し、 高付加価値の観光やメディカルツーリズムが新たな成長分野として注目されています。

日系企業にとっては、これらの新たな分野でのビジネスチャンスを活かすとともに、変化するタイ社会のニーズに対応した戦略の見直しが求められています。 タイの地理的優位性と多様な魅力を生かし、様々な分野での発展が期待される中、タイは引き続きアジアにおける重要なビジネス拠点としての地位を強化しています。

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タイの基本

タイは、インドシナ半島の中央部に位置し、カンボジア、ミャンマー、ラオス、マレーシアと国境を接する国です。人口は6,605万人(2023年)に達し、日本の約1.4倍の国土に日本の半分程度の人口が暮らしています。近年、都市部への人口集中が進んでいますが、地方の豊かな自然も依然として保たれています。

タイ社会において仏教は今でも重要な役割を果たしています。伝統的な出家の制度や毎朝の托鉢の風景は現代でも見られ、人々の生活に深く根付いています。一方で、若い世代を中心に宗教観の多様化も進んでおり、デジタル技術を活用した新しい形の仏教実践も登場しています。

観光立国として知られるタイは、新型コロナウイルスの影響から完全に回復し、新たな成長段階に入っています。バンコクは再び世界有数の人気渡航先となり、5Gネットワークやスマートシティ技術の導入により、より効率的で持続可能な都市へと進化しています。高架鉄道や地下鉄などの公共交通機関の整備も引き続き進められ、都市の利便性が向上しています。

地方の観光地では、エコツーリズムや文化体験型の観光が注目を集めています。北部のチェンマイは、過ごしやすい山の気候と伝統的文化に加え、デジタルノマドの拠点としても人気を博しています。南部のプーケット島やサムイ島では、美しい海を求めて多くの観光客が訪れる一方で、環境に配慮した高級リゾート開発が進んでいます。

2024年には、ほとんどの国からの観光客に対するビザ要件が緩和され、出入国カードが一時停止されるなど、入国手続きが大幅に簡素化されました。新型コロナウイルスの影響で一時期義務付けられていた隔離検疫は撤廃され、通常の渡航が完全に再開されています。 タイ政府は観光業の発展に加え、デジタル経済やバイオテクノロジー産業の育成にも注力しており、経済構造の多様化が進んでいます。また、ASEAN諸国との経済統合がさらに深化し、タイは地域の経済ハブとしての地位を強化しています。

2024年のタイは、伝統と革新のバランスを取りながら、持続可能な発展を目指す国として世界中から注目を集めています。豊かな文化遺産と自然環境を守りつつ、最先端の技術を取り入れた近代化を推進し、多様な魅力を持つ国として国際社会で重要な役割を果たしています。

基本情報

dot 国・地域名 タイ王国 Kingdom of Thailand
dot 面積 51万3,115平方キロメートル(日本の約1.4倍)
dot 人口 6,605万人(2023年、出所:タイ国内務省)
dot 首都 バンコク(タイ語名:クルンテープ・マハナコーン) 人口547万人(2023年、出所:タイ国内務省)
dot 民族 大多数がタイ族。その他 華人、マレー族等
dot 言語 タイ語
dot 宗教 人口の約95%が上座部仏教、その他イスラム教(4%)、キリスト教(0.6%)など
dot 日本との時差 -2時間

タイの政治

2024年現在、タイは立憲君主制を維持しており、国王が国家元首を務める議院内閣制を採用しています。20世紀から続いたクーデターの歴史は、 2019年の総選挙以降、新たな局面を迎え、民主的な政治プロセスが徐々に強化されてきました。しかし、政治的な緊張は依然として存在しています。

2023年の総選挙では、新しい世代の政治家たちが台頭し、従来の政治勢力図に変化をもたらしました。特に若年層の政治参加が活発化し、 デジタル技術を活用した新しい形の政治運動が注目を集めています。この変化は、2020年以降に活発化した「憲法改正」「王室改

長年続いた軍部の政治的影響力は徐々に縮小しつつありますが、完全に排除されたわけではありません。2014年のクーデター以降、 軍事政権は一部の国民から容認されていましたが、現在は憲法改正の議論が継続されており、軍部の政治関与を制限する

タクシン派と反タクシン派の対立は以前ほど先鋭化していませんが、地域間の経済格差や政治的イデオロギーの違いは依然として存在しています。 しかし、これらの対立は主に議会内での議論や合法的なデモ活動を通じて表現されるようになり、かつてのような暴力的な衝突のリスクは大幅に減少しています。

2024年のタイ政治の主要な課題は、経済回復と格差是正、デジタル時代に適応した政府の近代化、気候変動対策と持続可能な開発、 ASEAN内での政治的・経済的リーダーシップの強化などです。政府は経済成長と政治安定を両立させるための取り組みを進めており、 観光業や外国からの投資誘致にも力を入れています。

政治的安定性は以前と比べて向上していますが、時折デモや抗議活動が行われることがあります。これらは主に平和的なものですが、 旅行者やビジネス関係者は常に最新の情報を確認し、大規模な集会や政治的イベントには近づかないよう注意することが推奨されます。

全体として、2024年のタイの政治状況は、過去の混乱期と比べて安定しており、民主主義の深化と経済発展の両立を目指す過渡期にあると言えます。 しかし、政治情勢は依然として流動的であり、今後も注視が必要です。

政治体制

dot 政体 立憲君主国
dot 元首 マハー・ワチラロンコン・プラ・ワチラクラチャオユーフア国王
King Maha Vajiralongkorn Phra Vajiraklaochaoyuhua(2016年12月1日即位、1952年7月28日生まれ)
dot 議会制度 二院制 上院は200議席(公選) 下院は500議席(公選)
dot 行政府 首相のもと首相府、19省ほか セター・タウィーシン首相(2023年8月~)

タイの経済

2024年のタイ経済は、過去の数々の経済危機を乗り越えてきた強靭性と適応力を基盤に、新たな成長段階に突入しています。1997年のアジア通貨危機、 2009年の世界金融危機、2011年の大洪水、そして最近の新型コロナウイルスパンデミックなど、タイは幾度となく経済的苦境に直面しましたが、その都度、 驚異的な回復力を見せてきました。2024年には、コロナ禍からの本格的な回復を遂げ、世界銀行の予測によると、経済成長率は2024年は2.4%、 2025年は2.8%程度と見込まれています。この成長は、内需の回復、輸出の増加、そして観光業の本格的な復調に支えられています。

「タイランド4.0」政策と東部経済回廊(EEC)構想の推進により、タイ経済は多様化と高度化を遂げています。特に注目される分野には、 電気自動車(EV)産業、デジタル経済、持続可能な観光業、グリーン経済、スタートアップエコシステム、先端農業とバイオテクノロジーが挙げられます。 EEC構想下では、チョンブリー県、チャチュンサオ県、ラヨーン県を中心に先端産業の集積とインフラ整備が進み、高速鉄道や新空港の開業により、 この地域の経済的重要性が増しています。BOIによると、2023年の投資申請額におけるEEC比率は54%と、政府による産業地盤の移動も着実に進んでおります。

一方で、タイは人口高齢化、所得格差の拡大、気候変動の影響などの構造的課題にも直面しています。政府はこれらの課題に対応するため、 社会保障制度の拡充、教育改革、環境保護政策の強化を進めています。特に、高齢者向けサービス市場の拡大に注目が集まっており、 日本の経験を参考にしながら、介護サービスや高齢者向け住宅の開発が進んでいます。

ASEANの経済統合深化に伴い、タイは地域の経済ハブとしての役割を強化しています。国際的な投資先としての魅力も高まっており、 多様な産業分野での成長と持続可能な発展を目指し、ビジネス環境の整備を続けています。2024年のタイ経済は、 過去の危機を乗り越えてきた経験を活かし、デジタル化やグリーン経済への移行などグローバルな経済トレンドに対応しながら、 持続可能で包摂的な成長を目指しています。タイの経済的強靭性と適応力は、今後も国の発展を支える重要な要素となるでしょう。

経済

dot 基本的経済指標 項目 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 データ出所
名目GDP(十億ドル) 543.98 500.46 495.65 495.65 514.95 IMF
一人当たりの
名目GDP(ドル)
7,812.89 7,169.94 7,237.32 7,072.76 7,337.19 IMF
GDP成長率 2.12% 6.05% 1.55% 2.51% 1.87% IMF
失業率(平均) 1.00% 1.70% 1.90% 1.30% 1.20% IMF
輸出額 246,268
(百万ドル)
231,634
(百万ドル)
272,006
(百万ドル)
287,424
(百万ドル)
284,561
(百万ドル)
タイ中央銀行
対日輸出額 24,523
(百万ドル)
22,808
(百万ドル)
24,994
(百万ドル)
24,656
(百万ドル)
24,669
(百万ドル)
タイ中央銀行
輸入額 236,259
(百万ドル)
206,156
(百万ドル)
266,882
(百万ドル)
301,029
(百万ドル)
289,754
(百万ドル)
タイ中央銀行
対日輸入額 33,196
(百万ドル)
27,686
(百万ドル)
35,654
(百万ドル)
34,477
(百万ドル)
31,191
(百万ドル)
タイ中央銀行
dot 主要貿易品目 輸出:機械、自動車・同部品、電機機器・同部品
輸入:原油、電機機器・同部品、機械・同部品、化学品
-
dot 主要貿易相手国 輸出:1.米国(17.2%) 2.中国(12.0%) 3.日本(8.7%)
輸入:1.中国(24.4%) 2.日本(10.8%) 3.米国(6.7%)
タイ中央銀行
dot 外国からの直接投資
(単位:百万バーツ)
1位:日本 49,960(15.6%) 2位:台湾 45,484(14.2%) 3位:中国 41,691(13.0%) 4位:米国 34,184(11.9%) 5位:シンガポール 34,181(10.7%)
(タイ投資委員会認可ベース 2022年)
タイ投資委員会
dot 通貨< バーツ(Baht) -
dot 為替レート 1ドル=35.2バーツ(2024年1月、タイ中央銀行(月中平均)) -
dot 日系企業数 5,856社(2020年10月~2021年3月、ジェトロバンコク事務所調べ) -
dot 在留邦人 72,308人(2023年 外務省「海外在留邦人数調査統計」より) -