2024年現在、インドネシアに進出する日系企業は増加を続け、『外務省海外進出日系企業拠点数調査』によると2023年末時点で2,182社と報告されてます。
2011年から2015年にかけての進出ラッシュは一段落しましたが、その後も企業の進出は継続しています。インドネシア市場の魅力は依然として高く、進出企業は増え続けています。
しかし、外資企業の進出にはいくつかの障壁が存在します。ネガティブリスト(外資規制業種)や最低資本金100億ルピア(約7,000万円)の要件は、
中小企業にとって依然として大きなハードルです。このため、ASEAN諸国の中でもインドネシアへの中小企業の進出は難易度が高いと言えます。
インドネシア政府は、「インダストリー4.0」(第4次産業革命)の実現に向けたロードマップ「メイキング・インドネシア4.0」を掲げ、
2030年までにデジタル産業の時代に入る準備を進めています。このロードマップでは、食品・飲料、繊維・アパレル、自動車、化学、
電機・電子機器の5分野が重点産業として指定され、外資誘致が積極的に推進されています。ジョコ・ウィドド大統領は、
2030年までにインドネシアを世界トップ10の経済大国にすることを目標に掲げており、その実現に向けた政策が進められています。
2020年に施行されたオムニバス法(雇用創出法)は、インドネシアの投資環境の改善に大きく寄与しました。この法律により、
投資禁止業種は20業種から6業種に減少し、投資手続きが簡素化されました。しかし、
最低資本金要件は引き続き変更されておらず、中小企業の進出には依然として高い障壁があります。
それにもかかわらず、インドネシアは日本の人口の2倍以上を抱える巨大な消費市場であり、中長期的な成長が見込まれています。
2024年の経済成長率は5%以上と予想されており、中間層の拡大やデジタル経済の発展も期待されています。
特に製造業やサービス業の分野では投資機会が増加しており、外資系企業にとって有望な市場です。
インドネシアへの進出を検討する企業は、進出障壁を認識しつつも、中長期的な視点で市場の成長性を見極める必要があります。
政府の政策や経済動向を注視し、適切な戦略を立てることが重要です。特に、デジタル化やインフラ整備が進む中で、
インドネシア市場の潜在力を最大限に引き出すための準備が求められます。
インドネシアは、13,000を超える島々からなる世界最大の島国であり、2024年時点で人口は約2.8億人に達し、世界第4位の人口規模を誇ります。
その平均年齢は約29.7歳で、生産年齢人口(15歳から64歳)が従属人口(14歳以下および65歳以上)の2倍以上となる人口ボーナス期は、
2030年まで続くと予測されています。これにより、消費市場としての魅力も非常に高い国です。
インドネシアの人口の約88%がイスラム教を信仰しており、これは日常生活やビジネスにおいて重要な要素となります。
主要な戒律としては、1日5回の祈り(明け方、午前中、午後、日没後、就寝前にメッカに向かって行う)や、
男性に限られる金曜日の12時の礼拝、ラマダン時期の断食(1年に1度、約1ヶ月間、日の出から日没まで飲食を控える)などがあります。
ビジネスを行う上で、これらの宗教的な習慣を理解しておくことが重要です。
また、インドネシアにはヒンズー教、キリスト教、仏教、儒教などを信仰する人々もおり、宗教的な多様性が社会の一部として尊重されています。
インドネシアは、「多様性の中の統一(Bhinneka Tunggal Ika)」というスローガンの下、各民族の独自な文化や伝統の継承が認められ、
どの民族も対等な立場で扱われるべきという多文化主義を採用しています。この多様性はインドネシアの強みであり、社会の安定と繁栄に寄与しています。
インドネシアは、経済的にも成長を続けており、その豊富な資源や戦略的な立地は、今後も多くの企業や投資家にとって魅力的な市場となることでしょう。
政府の経済政策やインフラ投資の推進により、さらなる発展が期待されています。
|
インドネシア共和国 Republic of Indonesia |
|
191万6,907平方キロメートル(2019年、日本の約5倍)) |
|
約2.70億人(2020年、インドネシア政府統計) |
|
ジャカルタ(人口1,056万人:2020年、インドネシア政府統計) |
|
大半がマレー系(ジャワ、スンダ等約300種族) |
|
インドネシア語 |
|
イスラム教 86.69%、キリスト教 10.72%(プロテスタント 7.6%、カトリック 3.12%)、ヒンズー教 1.74%、仏教 0.77%、儒教 0.03%、その他 0.04% (2019年、宗教省統計) |
|
-2時間 |
インドネシアの政治体制は大統領制を採用しており、2024年2月に実施された大統領選挙の結果、プラボウォ・スビアント氏が新たな大統領に選出されました。ジョコ・ウィドド前大統領は2期10年の任期を終えました。
ジョコ・ウィドド前大統領は、2019年の就任時に以下の4つの方針を掲げ、2045年のインドネシアの姿を描いていました。
①「中所得のわな」から脱出する
②1人あたりGDP(年間)を3.2億ルピア(約22,400ドル)または(月間)2,700万ルピア(約1,890ドル)に
③名目GDPを7兆ドルとし、世界の5大経済国に入る
④国民の貧困率をゼロとする
これらの目標達成に向けて、ジョコ前大統領は首都移転を重要な政策として進めました。新首都「ヌサンタラ」の建設は2022年に開始され、
2024年現在、政府機能の一部移転が始まっています。完全な首都移転は2045年を目標としていますが、計画の遅延も指摘されています。
新首都「ヌサンタラ」はカリマンタン島東部に位置し、政治の中心となる予定です。一方で、経済の中心は引き続きジャカルタが担います。
首都移転の主な理由は、ジャカルタの過密化による交通渋滞の緩和、経済格差の是正、地盤沈下や海面上昇への対策です。
プラボウォ新大統領は、ジョコ前大統領の政策を継承しつつ、経済成長とインフラ開発に重点を置いた政策を進める見通しです。
新首都建設も継続され、インドネシアのさらなる発展を目指しています。
インドネシアは13,000を超える島々からなる世界最大の島国で、人口は2.8億人を超え、世界第4位の規模です。平均年齢は29.7歳で、
生産年齢人口(15-64歳)が従属人口(14歳以下、65歳以上)の2倍以上となる人口ボーナス期は2030年まで続くとされています。
人口の約88%がイスラム教を信仰しており、日常生活に深く根付いています。イスラム教には1日5回の祈りやラマダン時期の断食などの戒律があり、
ビジネスを行う上での理解が求められます。イスラム教以外にもヒンズー教、キリスト教、仏教、儒教などが信仰されています。
インドネシアは「多様性の中の統一(Bhinneka Tunggal Ika)」をスローガンに掲げ、多様な民族が共存する国です。
この多文化主義が、インドネシアの政治的安定と社会的調和を支えています。
インドネシアは、ジョコ前大統領からプラボウォ新大統領へとリーダーシップが引き継がれ、引き続き経済発展と社会の安定を目指しています。
|
大統領制、共和制 |
|
プラボウォ・スビアント大統領(2024年10月に就任、任期5年。) |
|
国会(DPR)(定数580名、任期5年)、国民協議会(MPR)(定数732名、国会議員580名と地方代表議員152名で構成) |
|
内閣は大統領の補佐機関であり、大統領が国務大臣の任免権を有する。 政治・治安担当調整大臣府管轄の5省と州政府、経済担当調整大臣府管轄の10省4府、社会福祉担当調整大臣府管轄の5省6府など。 |
インドネシアは、豊富な天然資源と巨大な消費市場を持つことで、依然として有望な投資先として注目を集めています。2024年現在、
インドネシアの一人あたりGDPはASEAN諸国の中で中位に位置していますが、名目GDPはASEAN全体の約40%を占めており、地域経済の中核を担っています。
1990年代前半までは、労働集約型の製造業を中心に外国直接投資が活発で、輸出型製造業が経済成長の牽引役でした。
しかし、1997年のアジア通貨危機以降、投資環境の改善が遅れたことなどから、外国直接投資は低迷し、輸出型製造業の成長も鈍化しました。
近年、インドネシア政府は経済構造の改革に取り組んでおり、天然資源輸出依存型経済からの脱却を目指しています。
製造業の高度化やデジタル経済の振興を推進し、付加価値の高い産業の育成に力を入れています。特に、「インダストリー4.0」
を掲げ、食品・飲料、繊維・アパレル、自動車、化学、電機・電子機器の5分野を重点産業として位置付け、外資誘致を積極的に進めています。
2020年に施行されたオムニバス法(雇用創出法)は、投資環境の改善に大きく貢献しました。投資禁止業種は大幅に減少し、
投資手続きも簡素化されましたが、最低資本金要件は依然として中小企業にとって高いハードルとなっています。
2024年現在、インドネシア経済は世界的なインフレや景気減速の影響を受けていますが、政府は積極的な財政政策や金融緩和策を講じており、
経済成長率は5%を超えると予想されています。特に、内需の拡大やデジタル経済の成長が期待されています。
課題としては、依然として残るインフラ整備の遅れや、複雑な規制・許認可手続きなどが挙げられます。しかし、
政府はこれらの課題解決にも取り組んでおり、投資環境の改善が進めば、さらなる経済成長が見込まれます。
インドネシアは、日本の人口の2倍以上を抱える巨大な市場であり、中間層の拡大やデジタル経済の発展も期待されています。
|
項目 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | データ出所 |
名目GDP(十億ドル) | 1,119.1 | 1,059.06 | 1,186.51 | 1,319.08 | 1,371.17 | IMF | |
一人当たりの 名目GDP(ドル) |
4,192.77 | 3,919.47 | 4,358.19 | 4,799.1 | 4,942.46 | IMF | |
GDP成長率 | 5.02% | -2.07% | 3.70% | 5.31% | 5.32% | IMF | |
失業率(平均) | 5.18% | 7.07% | 6.49% | 5.86% | 5.32% | IMF | |
輸出額 |
1,675.3 (億ドル) |
1,633.0 (億ドル) |
2,315.4 (億ドル) |
- | - | インドネシア中央統計庁 | |
対日輸出額 |
19,779 (億円) |
9,809 (億円) |
14,654 (億円) |
- | - | 財務省貿易統計 | |
輸入額 |
1,707.2 (億ドル) |
1,415.6 (億ドル) |
1,961.1 (億ドル) |
- | - | インドネシア中央統計庁 | |
対日輸入額 |
15,243 (億円) |
16,519 (億円) |
21,543 (億円) |
- | - | 財務省貿易統計 | |
|
輸出:鉱物性燃料、動物・植物性油脂等、鉄鋼 輸入:機械・機械設備、鉄鋼、医療用品 |
- | |||||
|
輸出:中国、米国、日本 輸入:中国、日本、タイ (2021年) |
インドネシア政府統計 | |||||
(2021年304憶ドル) |
1位:シンガポール 30.9% 2位:香港 15.2% 3位:中国 10.4% 4位:米国 8.3% 5位:日本 7.4% (インドネシア投資調整庁 実行ベース 2021年) |
インドネシア投資調整庁 | |||||
|
ルピア(Rp) | - | |||||
|
1ドル=15,144ルピア(2024年10月) | - | |||||
|
2,182社(2023年10月、外務省「海外進出日系企業拠点数調査」より) | - | |||||
|
15,972人(2022年10月外務省「海外在留邦人数調査統計」より) | - |